もしあなたが遺言執行者に指定されていたら、しなければならないこと

相続のご相談の中で遺言書をもってご相談に来られる方がいらっしゃいますが、遺言執行者に財産を多くもらう相続人にされているケースを多く見受けられます。では遺言執行者になった相続人は何をしなければならないのかまとめみました。

最終更新日:2024年2月22日

1.遺言執行者とは
2.遺言執行者がしなければならないこと
2-1.相続人確定の為の戸籍収集
2-2.相続人全員へ遺言執行者就任通知書&遺言書の写しの送付
2-3.相続財産の調査、財産目録の作成・相続人全員への送付
2-4.遺言内容による財産の処分・名義変更
2-5.業務終了を報告
3.遺言執行(代理)業務とは
3-1.遺言執行者に関してこんなお悩みございませんか。
3-2.遺言執行者を代理人に依頼するメリット
3-3.相談解決事例①「高齢で動けないので、遺言執行者代理人の相続手続き」
3-4.相談解決事例②「前妻の子供がいるので遺言を通して後妻家族に相続させたい」
3-5.相談解決事例③「相続人間の関係がよくないので、遺言執行者の代理人として対応してもらい」
3-6.遺言執行(代理)業務サポート
3-7.誰に遺言執行(代理)を依頼したら?費用はどれくらいかかるの?
3-8.よくあるご質問

1.遺言執行者とは

遺言は遺言者が亡くなった時に効力が発生しますが、遺言の内容を実現するためには遺言者に代わって遺言の内容を実現する者が必要となります。その内容を実現する者を遺言執行者といい、2019年民法改正において、

改正前
民法1012条
遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
それまで遺言執行者の権限が抽象的なものであったに対し、
改正後
民法1012条
遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
権限を明確にしてします。
改正前
民法1015条
遺言執行者は、相続人の代理人とみなす。
相続人の代理人は削除され、
改正後
民法1015条
遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示した行為は、相続人に対してその効力を生ずる
としたことで、仮に相続人にとって不利益内容でも遺言の内容を実現することが可能であることとしました。

こうした改正は遺言執行者の権限と立場を明確にすることで、遺言書における遺言執行者の役割はますます大切なものとなりました。

2.遺言執行者がしなければならないこと

遺言執行者に指定された場合、遺言の効力発生時から、遺言執行者に就任するか否かの判断を決めることになります。就任を拒否することも可能ですが、その場合、利害関係人(相続人、受遺者など)が家庭裁判所へ申し立てをすることで、遺言執行者を選任することができます。また遺言執行者に指定されたものが就任するか否かを明確にしない場合、相続人らは遺言執行者に対して、相当の期間を定めて、その期間に就任するか否かを催告することができ、その期間内に相続人らに確答しないときは、就任を承諾したものとみなされます。

2ー1.相続人確定の為の戸籍収集

遺言執行者として就任、遺言書の写し、財産目録を相続人全員に送付するために遺言者の出生から死亡までの戸籍等を収集することで相続人を確定することが必要となります。収集にあたり、遺言書と身分証明書があれば役所に請求して戸籍謄本等を取得することができます。

2ー2.相続人全員へ遺言執行者就任通知書&遺言書の写しの送付

相続人が確定しましたら、遺言執行者として相続人全員に対して遺言執行者就任通知書&遺言書の写しを送付し、遺言執行事務の流れを説明します。
*これまで遺言執行者に就任した事実や遺言の内容を相続人通知する義務について規定がありませんでしたが、2019年の改正で規定されました。

民法1017条第2項
遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない

2-3.相続財産の調査、財産目録の作成・相続人全員への送付

遺言者の相続財産(現金・予兆金・不動産・有価証券・負債等)の調査し、財産目録を作成し、相続人全員に送付します。この中で相続人から遺留分等の請求を受ける可能性があります。

2-4.遺言内容による財産の処分・名義変更

遺言書に記載された内容をもとに相続財産を処分、名義変更を行います。

2-5.業務終了を報告

相続財産の処分、名義変更が終わりましたら、相続人に業務終了した旨の業務報告書を送付します。

多くの方が遺言執行者の重要性をわからずに相続人を指定したまま、相続を迎えることになります。2019年の改正により権限と立場が明確になったことでこのような流れで執行業務を行うことが必要となり、専門家でない一般の方の負担が大きくなったといえます。

担当者コメント

よくあるのが一番多く財産を相続する方が遺言執行者と指定されている場合、その相続人がほかの相続人に遺言執行業務を行うことは感情的な対立を生む可能性があり、遺留分等の争いが起きた時に遺言執行業務に違反しているなどと言われないためにも専門家に遺言執行の代理をお願いすることをお勧めします。

ご参考までに当相談室で相談解決しました事例です。

3.遺言執行(代理)業務とは

当相談室では遺言書作成の中での遺言執行者指定、相続開始後の遺言執行者の代理業務を行っておりますのでお気軽にご相談ください。

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