「私たちには子どもがいないから、財産はすべて妻(夫)のものになる」「兄弟仲も悪くないし、揉めるほどの財産もないから大丈夫」
もし今、そう思っていらっしゃるなら、少しだけ時間をください。実は、子どもがいないご夫婦こそ、最も「遺言書」の効果が発揮されるケースなのです。
逆に言うと、遺言書がないだけで、残されたパートナーが「ハンコ集めの旅」という過酷な手続きに巻き込まれるリスクが潜んでいます。
今回は、なぜ子どもがいない夫婦に遺言書が「絶対」に必要なのか、そしてその圧倒的な解決力について、行政書士が分かりやすく解説します。
遺言書がないと起きる「想定外」の事態
「配偶者だけ」では手続きができない現実
法律では、子どもがいない場合、親も亡くなっていれば「配偶者」と「兄弟姉妹」が相続人になります。つまり、亡くなった方の兄弟姉妹全員の**「実印」と「印鑑証明書」**がないと、預金の解約も、自宅の名義変更も一切できません。
実際にあった「困った」ケース
- 疎遠な親戚が登場:兄弟が亡くなっていると、その子ども(甥・姪)が相続人になります。何十年も会っていない甥っ子に「ハンコをください」と連絡するのは大変なストレスです。
- 認知症の壁:相続人の中に認知症の方がいると、成年後見人をつけないと手続きが進まず、数ヶ月〜数年かかることもあります。
- 話し合いの拒否:「関わりたくない」「少しでもお金が欲しい」など、様々な理由で協力を拒まれると、手続きは完全にストップします。
ここで解決!「遺言書」が持つ魔法のような力
遺言書があれば「全員のハンコ」はいらない!
ここが一番お伝えしたいポイントです。 生前にお互いに「全財産を妻(夫)に相続させる」という遺言書を書いておけば、兄弟姉妹や甥・姪のハンコは一切不要になります。
残された配偶者は、その遺言書を使うだけで、スムーズに預金の解約や不動産の名義変更を行うことができます。疎遠な親戚に頭を下げる必要も、連絡先を必死に探す必要もありません。
兄弟姉妹には「遺留分」がないという最強のメリット
「でも、兄弟から『俺たちにも権利がある』と言われない?」 そう心配される方もいますが、安心してください。
法律上、子どもや親には「最低限もらえる権利(遺留分)」がありますが、兄弟姉妹にはこの「遺留分」がありません。つまり、遺言書さえあれば、兄弟姉妹は法的に文句を言うことができず、あなたの意思通りに100%配偶者に財産を残すことができるのです。これが「子どもがいない夫婦」に遺言書を強くおすすめする最大の理由です。
今日からできる!「遺言書」作成の3ステップ
「遺言書って難しそう…」と思わずに、まずは簡単なことから始めてみましょう。
STEP1:夫婦で「これから」を話す
まずはご夫婦で、「もしもの時、お互いにどうしてあげたいか」を話してみてください。 「君に住む場所は残したい」「手続きで苦労させたくない」 その「想い」が遺言書の原点です。
STEP2:財産をざっくり書き出す
預金、自宅、株など、どんな財産があるのかを整理します。正確な金額でなくても構いません。「何がどこにあるか」を把握することが大切です。
STEP3:専門家に相談して「公正証書遺言」を作る
遺言書には自分で書く「自筆証書遺言」もありますが、形式不備で無効になったり、紛失したりするリスクがあります。 確実にお互いを守るためには、公証役場で作る**「公正証書遺言」**がおすすめです。
スタートラインにご相談いただければ、文案の作成から公証役場とのやり取り、証人の手配まで、すべてサポートいたします。
